【ドイツ 演劇】Planet B(ヤエル・ローネン『プラネットB』)――2025年3月29日 マクシム・ゴーリキー劇場 Maxim Gorki Theater

演出:ヤエル・ローネン(Yael Ronen)
作:ヤエル・ローネン、イタイ・ライヒャー(Itai Reicher)
観劇日:2025年3月29日
初演日:2023年6月8日

 18時開演だと思って到着すると、19時30分開演だった。17時45分くらいに到着するとまったく人がいない。ゴーリキーの近隣には手頃なカフェがないので、エントランスの右側からカンティーネ(die Kantine)に入る。外側から見るとやってる気配がない。しかし、声や食器の当たる音が聞こえるので、おそるおそる扉を開けると営業していた。

 京都の喫茶店に「フランソワ」というところがある。ある時期から禁煙になるなど、経営方針が変わったようである(おそらくマダムに何かあったのだと別の喫茶店のマスターが噂していた)。かつての京都の学生運動家たちはここで密会していたらしい。そう教えてくれたのは、学生劇団の先輩だった。「フランソワ」はやや変わった構造をしている。入り口から当局の人間が入っきても、奥の扉から入った空間にいれば、時間が稼げそうな雰囲気である。ゴーリキーのカンティーネも外側からわかりにくい場所にあるし、カンティーネを抜けるとテラス席がある。もしかすると、似たような事情があったのかもしれない。

 ヤエル・ローネン作も三作目である。今回もかなりポップな仕上がりである。400万年後の地球。気候変動 Klimawandel は抑えがきかず、多くの種はすでに絶滅していた。そこに突然エイリアンが現れて、人間を含めたいくつかの生物たちと、生存競争をリアリティ番組の形式で進めさせることになる――だいぶ場末の小劇場っぽい発想である。人間、パンダ、ニワトリ、アリ、キツネ、ワニ、コウモリから一匹ずつが選ばれて、アピールをする。背景の映像に、メーターがあって規定値を超えると脱落ということになる。舞台が客席に向かって傾斜しており、それは地球そのものであるのは自明である。脱落するときには、それぞれの人物たちが滑り落ちていく。

 コウモリ役の俳優が「休む」といって足を上にしてつるされた状態でしばらく待機する場面があったり、選ばれた人間はなんの変哲もない保険を売っている中年男性など、わかりやすいズラシがたくさんあった。観劇してからだいぶ日が経過してしまっために、記憶が朧気になってしまった。Webで検索した劇評を読んでみる。それぞれの動物が、新自由主義者だったりとか、人間社会における何かを表現している、そのほかアリは われわれ>>Wir<< という一人称しか使っていないとか、たくさんの仕掛けがあったようである。検索をかけるとすぐにしっかりとした長さの評が見つかるので、とても助かる。

参考: