【ドイツ 演劇】Bucket List (ヤエル・ローネン『バケツ・リスト(死ぬまでにやっておきたいことリスト)』)――2024年11月6日 シャウビューネ劇場 Schaubühne

Bucket List

演出:ヤエル・ローネン Yael Ronen
音楽:Shlomi Shaban
脚本:ヤエル・ローネン Yael Ronen、Shlomi Shaban
観劇日:2024年11月6日
初演日:2023年12月9日

 Bucket List とは、英語のスラングで「死ぬまでに達成したいことリスト」という意味らしい。余談かもしれないが、同名の映画がアメリカで2007年に公開されているが、日本では『最高の人生の見つけ方』という邦題になっている。

 白黒を貴重としたモダンな美術と、こじゃれたスリーピースバンドによる生演奏を、楽しむことができた。記憶が断片的であることや、それがバラバラになって個人のイメージのなかで散らばっていく様を、舞台上から降ってくる白い衣服で表しつつ、さらにそれを用いて4人の俳優が一人のいろいろな過去と現在を行き来する。黒い服のときと、白い服のときとで、状況が差別化されているので観客は混乱もしにくい。同じように、自分も白いシャツをたくさん舞台上に用意したことがあったが、こういう使い方もあるのかと勉強になった。ときおり明らかに小さな子ども用の衣服が出てきたりするので、これを取ってやや見ているだけで、人物の「やりたいことリスト」のなかに何が入っているかを暗示することができる。

 演出のヤエル・ローネンは、ゴーリキー劇場の専属らしく、先日同劇場で『SLIPPERY SLOPE』(2022年Theater Treffenに招聘)を観ていた。こちらも「Almost Musical」との副題があって、音楽を導入したポップな作風というのがなんとなく見て取れるとともに、劇場ごとに求められる作品の基調も比較することができる。個人的にはゴーリキーの豪快で闊達な雰囲気のほうが好みだが、シャウビューネのほうがデザインがいつも清澄で表現の骨格がわかりやすく、学びやすいように感じる。