【ドイツ 演劇】Die Räuberinnen (シラー作『群盗』、レオニー・ベーム演出)――2024年10月23日 マクシム・ゴーリキー劇場 Maxim Gorki Theater
演出:Leonie Böhm (レオニー・ベーム)
原作:シラー(『群盗 (die Räuber)』)
観劇日:2024年10月23日
初演日:2024年5月9日
ベルリンにきて結局日本人の知り合いが増えた。これは別に悪い意味で言っているのではない。いろいろな人が繋いでくれて、実りあるお話をたくさん伺うことができたし、今後の人生の指針を固めるきっかけにもなった。
異邦人にとって、生活するためにも、同国人のコミュニティは大切である。語学学校の周囲を見ていても、同じ国出身同士でつるんでいるのをよく見かける。しかし、そのようにして、外国で過ごすことに対するイメージは、日本ではとても悪い。いろいろな可能性が推察できる。日本の文化としてよく指摘される「強烈な同調圧力」が嫌だから国外へ出たというのに、相も変わらず日本人コミュニティへ安住してしまうことへの劣等感があるのかもしれない。意地を張って、日本人とは一切かかわらないと心に決める人もいる。向き不向きもあるが、あまりに強いストレスに晒され続けるのは、長い目で見て健康的でも効果的でもない。
ちょっと最近疲れてきて、記録をサボってしまったが、観たものについては、なるべく書いておきたい。今回は、マクシム・ゴーリキー劇場で、シラー原作の『群盗』を観た。原題は、そのまま、Die Räuberなのだが、こちらのタイトルは、die räuberinnenと、女性形になっている。ここですでに意図は明らかである。今回は、英語字幕付きであった。開演前に俳優たちが舞台上に出てきていて、後から思えば観客とコミュニケーションを積極的にとる演出なので、客席の様子を伺っていたのではないかと推察する。
舞台の背景には、大きな雲があって、時折雨が降る。それは単に人物のかなしい心理描写に留まらず、最後にそこで俳優たちが全裸になって水遊びしはじめる。雲が上にあがって、ヨーロッパの奥行のある劇場のいちばん後ろから客席に向かって全裸の俳優たちが勢いよく滑り込んでくる。何人か、というかほとんど客席に向かって飛び出してきた。最前列だったのだが、幸い端から二番目だったので自分は俳優とぶつかることはなかったが、他の最前列の観客は思いっきり俳優に突撃されていた(起きたことをありのままに書いているぜ?)。最前列中央にいた観客の男性が、上演中に携帯電話を鳴らしたりドタッと落としたりさせていたのだが、それを俳優に捕捉された結果、携帯は舞台上に預ける羽目になったあげく、このウォータースライダーに参加させられていた。仕込みだったのか、アドリブだったのかまったくわからないが、最前中央の客席を選んでいなくてホッとした。演出のLeonie Böhm は、この他にも『Media』や『賢者ナータン』など、古典を多く扱うが、パフォーマティヴな演出スタンスは一貫しているようである。
いろいろな劇場に行ったが、マクシム・ゴーリキー劇場の雰囲気が個人的にいちばん気に入っているかもしれない。