劇団辞めてドイツ行く(16)Ich werde König der Piraten――2024年9月18日
Ich werde König der Piraten は接続法二式 Konjunktiv Ⅱなのか
今日は、「接続法 Konjunktiv」のところに入った。昨日は関係代名詞と、複雑な文法事項を扱っている。接続法にしても、関係代名詞にしても、単純化された例文なら仕組みを理解できるのだが、一つ進むと途端に混乱してしまう。毎日当てられて、毎日間違えている。
ベルリンは曇りが多いイメージだったが、9月1日に来てから晴れの日が多い。ここから冬に近づくにつれて、鬱蒼とした天気になっていくのだろうか。日光に合わせて生活するのは、久々である。夜寝る前の歯磨きやシャワーが、だいたいいつだったのか、思い出せず、妙な時間になってしまう。生活を作り直さなければならない。
胃は安定してきたが、洗顔とかシャワーの硬水にまだ慣れない。手や肌が荒れる。手が荒れているのは、たぶん洗剤のせいもある。あと、この前洗濯用洗剤を買ったら、中身が漏れていて、いろんなところに着いてしまったのだが、そのときのぶんもあるかもしれない。買う前に中身を空けて確認する客が結構いるらしく、そのせいで蓋がちゃんとしまってない状態になっていることが、そこそこあるらしい。卵も、割れたまま陳列されていることがあるから買う前に空けてみなければならない。細かい違いが積み重なっていて、その都度「あー」となって時間を食ってしまうが、一か月もすれば慣れてしまうだろう。
11月末からの住処について、もう考えなければならないのだが、正直そこに頭が回らない。当然、どこでなんの仕事につくかも検討することすらできていない。復習と課題で精いっぱいである。あまり行き当たりばったりになりたくないのだが、語学だけで、キャパシティを容易に超えてしまう。
接続法を理解するには、だいたいこれまでやっていたのが「直説法」Indikativであったというところから始められるのだが、わかるようでわからないような、知らなくてもなんとかなるような感じがあって、正直めんどくさい。
――しかし今日では接続法の用法は多岐にわたり、「接続」という意識はほとんど失われてしまっている。(『ドイツ文法総まとめ』白水社、補遺)
① Das sei ein Kugelschreiber.
sei は sein の 接続法1式の例文である。
直説法なら
② Das ist ein Kugelschreiber.
①に文脈をちゃんと与えれば、
①ドイツ語 Der Lehrer sagt, dass das ein Kugelschreiber sei.
「先生は、それがボールペンだと言っています」
というのが考えられる。”ist” ではなく、”sei”(接続法1式現在形)になることで、何が変わるのかといえば、それが「聞いた話」であって「事実であるとは限らない」ということらしい。「間接話法」という。
しかし、今のクラスでは接続法1式はほぼ扱わず、2式のことしかやっていない。2式は例えば、以下のような形式になる。
③ Das wäre ein Kugelschreiber.
文脈を加えてみるなら、
③Wenn das ein Kugelschreiber wäre, könnte ich ihn dir leihen.
「これがボールペンであれば、それをあなたに貸すことができた」
『ドイツ語文法総まとめ』では接続法2式の別形態(代替)として、
④ Ich würde gern hingehen, wenn ich Zeit hätte.
「私に時間があったら、私は喜んでそこへいく」
の形(würde +原形)が紹介されているのだが、ドイツの語学学校の授業では中心的な事項として解説されていた。接続法2式によって
「私に時間があること」
「私がそこにいくこと」
がともに、非現実であることが示唆される。
試しに『ONE PIECE』の「海賊王におれはなる」を調べてみた。100巻、1000話を超えてなお、ルフィは海賊王になっていないので、それは現実ではない。接続法で表現されているあるはずである。
――ICH WERDE KÖNIG DER PIRATEN!!!
とあった。werden の直説法一人称現在も、接続法一人称現在も、werde であるので、この一文だけでは判断ができないのだが、文脈を考えれば、接続法1式とも解釈できる。わからないのでAIに聞いてみた。
ICH WERDE KÖNIG DER PIRATEN!
この文は直説法現在形で表現されています。「WERDE」は動詞「werden」(~になる)の一人称単数現在形です。
「KÖNIG DER PIRATEN」は「海賊王」を意味し、文の補語として機能しています。全体の意味は「私は海賊王になる!」となります。
注意点:この表現は、文脈によっては接続法I式として解釈することも可能です。しかし、これは主人公ルフィの強い意志や決意を表す台詞であるため、直説法として解釈するのが自然でしょう。
直説法を使用することで、話者の強い確信や決意が表現されています。この場合、ルフィの「海賊王になる」という強い意志が伝わってきます。大文字で書かれているのは、マンガやアニメでの強調表現の一つです。これにより、発言の力強さや重要性が視覚的に表現されています。(以上、Notion AI)
とのことである。形だけでなく、ニュアンスのことも考えなければならなかった。意味のために、形が変わるのであって、形が変わるから意味が変わるのではない、ということを忘れてはならない。外国語だとどうしても、形を見てものを判断してしまう。文字から学ばざるを得ない以上、それは仕方がないことなのだが、実際に言葉を使うときの順序を念頭におきつつ、学びをすすめよう。劇作家だし。