劇団辞めてドイツ行く(44)またドイツきた――2025年2月15日

かしこくなりました

 だいぶ学習した。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というが、やはり経験の力はすごい。インターネットの時代になっても、結局は経験から学ぶほうが効率がいいのである。

関空からイスタンブール

 費用が半分程度になった。それでもそのほかの条件はいい。前回は、LCCならとにかく安いだろうという貧乏人根性を自覚した。荷物が少ないのならば、LCCも選択肢に入ってくる。きちんと確認はしていないが、国際情勢の都合上、中華系の航空会社なら北京経由でヨーロッパまで比較的安くでいけるようである。しかし、最悪這ってでもドイツにたどり着ける場所をトランジット地にしたかったので、今回はターキッシュ・エアラインズにした。

 帰国中に、三井住友ゴールドカードNLを手に入れて、関空で二つのラウンジを無料で利用した。飛行機は手続きがいろいろめんどくさく、時間も読めないので、気を少しでも落ち着けられるスポットがあるのはいいことである。ただし、私が入ったタイミングではどこも混んでいた。仕方ないがややせわしない。関空では、なか卯に行った。夜勤のときには近所になか卯しかなかったので、ほぼ毎日食べていたので、どこでも同じ味の親子丼にエモくなってしまった。そのあと、関空のすぐそばの商業施設にあるラウンジ、Nodokaを利用した。清潔なネカフェみたいな感じだった。アネックス六甲はちょうどよく、搭乗口のまんまえだったので、直前までゆっくりすることができた。これならもっと早くきてもよかったのかもしれない。しかしいずれもコーヒーマシンがファミレスにおいてあるようなもので、コーヒーがあまりおいしくなかった。どうせなら缶コーヒーのほうがいいかもしれない。

 荷物も問題なく預けられた。いろいろあったので、学習して今回はサイズ・重量ともに規定ぎりぎりを攻めることができた。ベルリンで無事受け取れることを願う。なかには大事なブツがある。(→受け取れた)

 念のためスマホに映画をDLしておく。飛行機のなかは、想像以上に暇である。どこでも寝られるタイプではないし、夜の移動だと暗くて本は読めなかった。ただ、今回のクラスはエコノミーではないので、充電ポートがないとの記載がある。はじめてのイスタンブールでスマホなしトランジットは危険なので、二台のスマホのうち一つでも生存していられるように調整する。イスタンブール空港で充電できるように万国対応の変換プラグも確保してある。

 吉岡元メンバーみたいに、ビュンビュン飛行機移動している人がうらやましい。ふつうに慣れてるか慣れていないかの違いしかないように思う。はやめにきてよかった。どういうわけか、出発時刻が15分早く変更されていた。遅くなるというのはわかるが、早くなることなんてあるのか。

機内1(関空からイスタンブール)ターキッシュエアラインズ TK0087/ボーイング787-9

 なんでもかんでも有料のScootとは違い、タブレットも充電ポートもあった(特定の機種しかないのではなかったのか?)。充電ポートは、TypeAとTypeCで二つあったのだが、Type Aは破損していて、Type Cだけ、充電できた。タブレットは取り外しができなかったが、700本以上の動画コンテンツがある。英語字幕しかないが、The Beekeeper を視聴。そのあとも時間が余ったので、スマホにDLしておいた『パーフェクト・デイズ』を観た。飛行機のなかは、寝るとトイレ行く以外にほとんどできることがない。10時間を越えてくると、寝付きの悪い自分にとってはなかなか苦痛な時間である。

 モバイルバッテリーは持って行かないことにした。日本では充電ポートを提供している場所が少なく、その価値はあるのだが、ベルリンでは電車やバスにUSBポートがあるので、Type A to Cのコード一本あれば困ることはあまりない。そもそもモバイルバッテリーは発火したりすることがあって、持ち込みにくくなっている。また、充電ポートだけでなく、隣に座っていた女性の荷物入れが壊れていて、抜けてしまうようになっていた。

イスタンブール空港(トルコの水はいけるのか)

 イスタンブールでトランジット。現地時間の朝5時30分に到着して、11時発のフライトまで待たねばならないが、ここはまだチャンギ同様、広くて過ごしやすい。喫煙所も見つけられた。Smoking と書かずに、Terrace と書いてある。そこが喫煙所とわかったのはたばこのマークがあるからである。喫煙所は、文字通りテラス式になっている。検査場前の喫煙所は上方に電気ストーブが設置してある。喫煙事情も世界によってまちまちである。チャンギも屋外だった。日本は喫煙「室」。アテネ国際空港も喫煙「室」だった(帰りのときに搭乗口で喫煙所を探したが見つけられなかった)。屋内は基本禁煙、屋外は自由みたいな感じが多いのだろうか。韓国に行ったときも、8年ほど前のことだが、外は基本自由みたいな説明を受けた。喫煙のルールはいずれも時代に応じて厳しくなる傾向にある。辞めようとしたがなんやかんや無理だった。ドイツ行ったら値段が高いのでやめれるかもと思ったが、20本5ユーロ(800円程度)の激安かつ味も好みのものを、スーパー・リドル Lidlで発見してしまった。まだLidlでしか見たことがないのだが、まとめ買いできないだろうか。トルコの気温を確認すると、この時期は10度前後で推移しており、日本とあまり変わらないようである。帰国時、シンガポール乗り継ぎのときはベルリンから厚着してしまっていたので、だいぶ蒸し暑かった。

 購入した水に問題がないかが不安である。いちばんたくさんおいてある damla というメーカーのものが比較的硬度が低いらしいのだが、関西の水は軟水国日本でもさらに硬度低めらしいので、硬水に対しては関西人は日本でも最弱である。さらにどちらかといえばお腹を下しやすい男性なので、私は下の下に入ってくる。がぶがぶ飲まずに少しずつ飲むことにしよう。前回は、アホみたいにがぶ飲みしてひどい目に遭った。ベルリンでは、水が合わないというストレスが、飲み水に限らずあらゆる場面で、想像以上に堪えた。今回は苦しまずに過ごしたい。入浴直後の数分をのぞいて、毎日が不快だった。肌も髪もそんなに強いわけではないので、とりあえず、マシなシャンプーやボディーソープを見つけだしたい。

 購入した水の値段を確認すると、500mlのペットボトルが110トルコリラ≒440円くらいした。まじかこいつら正気か。蓋も閉めにくいしよお。財布のひもがギュッと締まる。搭乗口すぐ近くにカフェがあった。コーヒーとベーグルで、1300円くらい。まあ空港だし、こちらは文句垂れるほどの金額ではないか。ここはユーロの料金表示もあって、ユーロ現金でも買えるようだった。あと、男子トイレが高身長設定すぎた。155cmだがギリギリなんとかなった。子どもとかどうするんだよ、これ。みんな生まれたときから160cmあるのか。

機内2(イスタンブールからベルリン)ターキッシュ・エアラインズ TK1729/エアバスA321

 イスタンブールからベルリンに乗り換えたが、おそらくこちらの機種のほうが新しいように見える。USBポートはType A が一つだけ。ちゃんと動いた。イヤホンは最初に乗ったのと同様、二つ差し込み口がある。2時間55分の移動である。ベルリン行きなのにあまりドイツ語が聞こえてこない。乗り込むともしかして隣誰もいない?と期待したが、直前にフランス語を話す子供たちに囲まれた。少し人見知りする女の子だった。配布されたイヤホンをほどくのが難しそうだったので代わりにやってあげると小さい声で Thank you と言ってくれた。至近距離でアジア人を観たのは初めてだったのだろうか。もうちょっとフランス語も勉強しておけばよかった。

 ミーハーで恐縮だが、DLしておいた『ベルリン・天使の詩』を見ながらこの機内でこの文章を書いている。飛行機の場面が最初にある。ベルリンに向かう機内で観るならこれ一択なのかもしれない。図書館シーンはやはりリルケ『マルテの手記』からきているのだろうか。

 さて、機内食について指摘しておかなければならない。機内食なんて申し訳程度のものと思っていたが、衝撃的にうまかった。なかでも、イスタンブール〜ベルリン間に食べたジェノベーゼ・パスタが絶品で、濃厚でクリーミーな味わい、地上ならちゃんとしたレストランにいかないとこんなの食べられないのではと思った。このパスタといい、ケバブといい、トルコは食にかんしてすさまじい国なのかもしれない。

ちゃんと入国できるかな

 さて、前回の入国時のトラブル二つをおさらいしておこう。

1)入国審査で揉めた

2)スマホ無くした

 1)入国審査については、さすがにドイツ語も英語も能力があがっているので、なんとかなるだろう。2)スマホなくした については、今回はだいぶ落ち着いて移動できているし、スマホなどの電子機器類用のミニバッグも持ってきているので難なくクリアできるだろう。

 最大の懸案事項は、雪である。私は幼少期、一時沖縄で、気候に厳しさがない大阪で残りの人生のほとんどを過ごした。雪が二日以上積もったのを経験したことがない。どうやって市内にたどり着くか。結局いろいろ考えて高くはなるが、雪国を知らないのでタクシーを利用することにした。

 さて、入国審査だが、自分の二人分前にいた夫婦、それから隣の列でも若い女性がかなり長い時間をとっていた。EU市民とそれ以外で分けられていて、当然私は「それ以外」である。今回は飛行機から降りて荷物を受け取ってからすぐに向かったので、人が少ないうちに列に並ぶことができた。しかし、何で揉めているのかはよくわからないが、いつまで経っても列が進まない。夫婦のほうは、「息子がドイツでドクターをやっている」と英語で聞こえた。つまり息子に会いに観光しにきたのだろうか。それでなぜあれだけ確認に手間取ることになるのかはよくわからない。若い女性のほうはよくわからなかったが、働く・働かない、どこで?云々のことというくらいのことはわかった。どうしようもないので、お巡りさんとやりとりする流れになっていた。そうこうしているうちに長蛇の列が出来上がっていた。やけに緊張してきた。前回わりとごちゃごちゃ詰問された記憶がよみがえってくる。

 愛想よくHallo といって、パスポートを渡す。コミュニケーションは先手必勝である。なんか黙り込んで作業しているので、ちょうどいい間で、「Kein Problem?」と言ってみると、「Alles Klar! 」と返された。とりあえず、学校に行って、今月面接したい(気持ちだけで実際には何も決まっていない)と言うと、「gut!」的なことを言われてなんなくクリアした。瞬殺である。スマホも無くしていない。なので、写真をうpできる。無事入国である。雪が怖いのでタクシーで中心地に向かう。無事野村さんと会って、散歩して、飯食って、バー行って明日の予定を話して、その日は22時には寝た。夜25時からの予定は飛ばしてしまった。すみません。さすがに無理でした。今日は、朝6時半という超健康的な目覚めでした。

 総合的にいって、昨年の初回が嘘のように快適な旅であった。しかも前回より安く済んでいる。今日はこの先々の予定を決め、動き出す。