戯曲を読み、あらすじとノートを書いています。

戯曲を読むために読むもの

最近の戯曲になればなるほど、いきなり読んでもわけがわからないことが多くなります。参考図書をいくつか挙げておきます。分厚いものばかりですが、通読するというよりは気になったことがあったときの検索窓くらいに思っておいていいと思います。古本だと安くなっているものもありますので、リンクから手に取ってみてもいいかもしれません。

☞戯曲を読むために読むもの一部(クリックで詳細)

マーティン・エスリン(小田島雄志訳)『不条理の演劇』晶文社、1968年。
ペーター・ションディ(市村仁・丸山匠訳)『現代戯曲の理論』法政大学出版局、1979年。
ゴードン・ファレル(常田景子訳)『現代戯曲の設計』日本劇作家協会、2004年。

別役実『ことばの創りかた 現代演劇ひろい文』論創社、2012年。

別役実のテキストは、別役実の戯曲によく似ていると思います。つまり、ちょこちょこわかりにくいというか、わかっていて混乱させるような言い方をあえてしているのではないかと勘繰ってしまうような書きぶりです。個人的には相性が悪いのですが、根強い支持もあることだしと、好き嫌いしないようにしています。

井上ひさし『芝居の面白さ、教えます 井上ひさしの戯曲講座 日本編』作品社、2023年。
井上ひさし『芝居の面白さ、教えます 井上ひさしの戯曲講座 海外編』作品社、2023年。

井上ひさしは、別役実と違って、エッセイもわかりやすくて読んでいて楽しいです。日本劇作家協会での戯曲講座の録音も聞きましたが、イメージ通り、サービス精神旺盛です。こちらは2023年に出版されたものですが、これを読んで惹かれたら、別のエッセイや戯曲も読んでみてください。

井上ひさし・平田オリザ『話し言葉の日本語』小学館、2002年。(単行本版)
井上ひさし・平田オリザ『話し言葉の日本語』新潮文庫、2013年。(文庫版)

日本語の勉強というよりは、二人がことばにどのような視点を持っているのか、という関心で読むと両名の戯曲が読み解きやすくなるかもしれません。私が読んだ単行本版は2002年ですので、完全に死語となった言い回しがでてきたりしますが、気にせず読み進めていくと、だんだんと深い話になっていきます。基本、井上ひさしの話が長いですが、聞きましょう。

日本演出者協会編『演出家の仕事 六〇年代・アングラ・演劇革命』2006年。

西堂行人の著作はじめ、類書もたくさんあります。アングラ世代の方々のお話はそろそろ直接伺うことは不可能になりつつあります。三島由紀夫が亡くなったときもそうだったらしいのですが、「さもよく知っているかのように話す」人が現れます。見分けも難しくなってきていますので、基礎教養としてこういうものは一つ、二つ装備したほうがいいかもしれません。

扇田昭彦『現代演劇の航海』リプロポート社、1988年

1971年から1987年までの17年間に、扇田昭彦が書いた劇評が収められています。500ページ近くあり、通読は困難かもしれませんが、あの日あの時の上演が知りたいというときにはもとより、この時代に初演された戯曲に対する一般的な評価、作家たちの発展段階など、当時の東京を知らない人にとって貴重な文献です。

九鬼葉子『関西小劇場30年の熱闘 ~演劇は何のためにあるのか~』晩成書房、2016年。

関西小劇場の、1980年代から2010年代初頭までのことが書かれています。私は関西を中心に活動していますが、どうしても人から聞いた話でしか参照できなかったことについて、本書を通じて客観性を持って触れることができます(多くの出版物ではどれも東京の演劇事情を日本全体の演劇事情ということにして書いているものばかりです...)。

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